Japan & Russia : Future of Cultural & Economical Relations 「ロシア大使を囲む会」の報告

Edited by Maki Kato
Report by Sayuri Hamada./English & Japanese
Photos by Moh.Domnati
The event was held at the Upper House Parliamentarians Office Building with over 100 participants from political, economic and cultural fields. Based on Russian Ambassador Evgeny Afanasiev’s inspiring presentation, Dr. Kazuyuki Hamada coordinated lively discussions to cover the potential of medical, tourism, artistic and economic exchanges between the two countries as well as Asia in general.
It was a warm and forward-looking gathering to address the current challenges faced by Asia and the world.
４月２０日、午後、東京は永田町の参議院議員会館にて「ロシア大使を囲む会」が開催されました。テーマは「日本とロシアの医療、観光、文化、芸術交流の未来を語る」というもの。主催はNPO法人「知識の杜」と国際未来科学研究所。共に国際政治経済学者の浜田和幸氏（前参議院議員、元外務大臣政務官）が代表評議員と主宰者を務める団体です。
会場には１００人を超える参加者が集い、駐日ロシア大使のアファナシエフ氏の講演に耳を傾けました。中には能の人間国宝、坂井音重先生夫妻や水墨画の大家、小林東雲先生といった日本を代表する芸術家や芸大の若きアーティストらも。他にも、医療の専門家や多言語通訳の養成学校の責任者、国会議員など、経済や政治の分野で活躍中の多彩な顔ぶれが揃いました。
折から、安倍総理のロシア訪問を間近に控え、今後の日ロ関係はもとより、日本とアジアとの関係についても活発な意見交換が行われたものです。アファナシエフ大使はロシア大使館の文化、領事、経済の担当部長らを伴い、多方面にわたるロシアの魅力を語ってくれました。
会場からは多くの質問が寄せられ、それらに対し、アファナシエ大使と浜田和幸氏が軽妙な語り口で応じていたのが印象的でした。終わりに主催者からは大使に日本人形がプレゼントされ、大使からはモスクワのクレムリンの絵がお返しに贈呈されるという、実に和やかな友好と親善の大輪の咲く集会でした。
会の中で話題となったのが、観光の問題でした。というのは、中国からは年間、５６０万人もの観光客が日本を訪問しているにもかかわらず、ロシアからはたったの２万６０００人しか来日してないからです。ロシアを訪ねる日本人も年間６万人に過ぎません。
政府間では平和条約が結ばれないまま、戦後７１年も経ってしまい、せめて民間の交流だけでも、両国間の関係改善につなげたいというのが大使の切なる願いでした。そこで、
大使はロシアから日本政府との間でビザなし訪問が可能となるように交渉を呼びかけているとの現状を紹介。残念ながら、日本側のガードが堅いとのこと。要は、犯罪者やテロリストが紛れ込むことを警戒しているためでしょう。
しかし、一般の観光客やビジネスマンの相互訪問なくして関係の改善や強化はあり得ない話。会場からはもっと柔軟な対応を日本政府に期待したいとの声も出ました。４月末には安倍総理が訪ロし、プーチン大統領と実に１７回目の首脳会談に臨むことになっているわけで、是非、その成果を期待したいものです。
実は、モスクワだけで和食のレストランは１０００軒を超えており、山口県産の日本酒「東洋美人」はプーチン大統領のお気に入りとのウワサで、大評判とのこと。ロシア各地には日本の文化愛好家の「日本クラブ」が続々と誕生しているようです。
大使が唱えるように、ビザなし訪問が可能となれば、大勢の日本ファンが訪日することは間違いなく、日本経済にとってもプラスになるはず。そんな明るい未来を感じさせる会合でした。